
グラスに注いだときに見える沈殿物や、ボトルの中に漂う浮遊物。ワインを楽しむ人なら誰でも一度は出会う現象です。 しかし、それが無害な澱(おり)なのか、あるいは危険なカビなのかを見分けるのは簡単ではありません。
本記事では、
- 沈殿物(澱)の正体と発生する理由
- カビとの違いと見分け方
- 沈殿物やカビを防ぐ保存方法
- 出てしまったときの対処法と安全に飲むためのポイント
を初心者にもわかりやすく解説します。最後まで読めば、「飲んでも大丈夫かどうか」を安心して判断できる目安が身につき、ワインをもっと安全に楽しめるようになります。
ワインの沈殿物とは?
澱(おり)の正体と発生する理由
ワインの沈殿物の多くは澱(おり)と呼ばれるものです。これはブドウの果皮や種に含まれるタンニン、色素成分、酒石酸などが時間とともに固まり、沈殿したものです。熟成が進むと自然に現れるため、必ずしも異常ではありません。
沈殿物が出やすいワインの種類(赤ワイン・長期熟成)
特に赤ワインや長期熟成タイプのワインでは澱が発生しやすい傾向にあります。色素やタンニンの多いワインほど沈殿が出やすく、ボトルの底やコルク付近に付着していることがあります。
澱は無害?飲んでも大丈夫?
澱は人体に害はなく無害とされています。ただし舌触りがザラついたり、味に苦味や渋みを与えることがあります。そのため、見た目や風味を楽しみたいときは避ける方がよいでしょう。
ワインのカビとは?
保存状態が悪いと発生するカビの原因
ワインにカビが発生する主な原因は、保存環境の悪さです。高温多湿の場所や直射日光が当たる場所で保管すると、ボトルの外側やコルク部分にカビが生えることがあります。さらに密閉が不十分だと内部にまで菌が侵入する可能性があります。
澱との見分け方(見た目・匂い・味)
澱は細かい粒子で沈殿し、色は赤褐色や黒っぽいのが特徴です。一方、カビは白や緑、青っぽいフワフワした見た目で、表面に浮いたり斑点のように現れます。匂いも澱はほぼ無臭ですが、カビはカビ臭・カビ由来の異臭を放ちます。
カビが発生したワインを飲むリスク
カビが生えたワインを飲むのは健康リスクが高いため避けるべきです。加熱しても毒素が残る可能性があるため、カビが確認できた場合は廃棄するのが安全です。
沈殿物やカビを避けるための保存方法
沈殿物を減らす保存の工夫(温度・振動対策)
沈殿物は自然な熟成の一部ですが、保存環境によって量が変わります。温度変化が激しい場所や、振動の多い場所で保管すると沈殿が増えやすくなります。一定の温度(12〜15℃前後)で静かに寝かせることで、澱の発生を最小限に抑えられます。
カビを防ぐ保存環境(湿度・光・密閉性)
カビは高湿度や直射日光が原因で発生します。湿度は60〜70%を目安に保ち、直射日光を避け、ボトルはしっかり密閉して保管しましょう。開封後は冷蔵保存が基本です。
正しい開封後保存(ラップ・ストッパー・セラー)
開封後はラップで覆う、ストッパーを使用する、ワインセラーに入れるなどで酸化やカビのリスクを軽減できます。保存期間は短めを意識し、数日以内に飲み切るのが安心です。
沈殿物が出たときの対処法
デカンタージュで取り除く方法
ワインに沈殿物が多い場合はデカンタージュ(ワインを別の容器に移す作業)が有効です。光にかざしながらゆっくり注ぎ、ボトル底に沈んだ澱を避けて移すことで、澄んだ状態で楽しめます。
グラスに注ぐときの工夫(最後まで注がない)
グラスに直接注ぐ場合は、ボトルの最後まで注がずに1〜2cm残すのがコツです。残った部分に澱が集中しているため、グラスに入るのを防げます。
沈殿物が多いときはどうする?
長期熟成の赤ワインなどでは澱が多く発生することがあります。澱自体は無害ですが、味わいや見た目を損なうため気になる場合はフィルターや茶こしを使って濾す方法もあります。それでも不安な場合は無理せず廃棄を検討してください。
ワイン沈殿物・カビに関するQ&A
Q1. 沈殿物は体に悪いの?
A. 沈殿物(澱)はブドウ由来の成分が固まったもので、基本的に無害です。ただし口当たりや風味を損なうことがあるため、気になる場合はデカンタージュなどで取り除きましょう。
Q2. カビがあるけど加熱すれば大丈夫?
A. カビが発生したワインは加熱しても安全ではありません。カビ由来の毒素は熱で分解されないことがあるため、発見したら飲まずに廃棄するのが安心です。
Q3. 沈殿物が出やすいワインは避けたほうがいい?
A. 沈殿物は長期熟成や赤ワインに多く見られますが、それ自体が欠点ではなく「自然な熟成の証」とも言えます。気になる場合は若いワインを選べば澱は出にくくなります。
まとめ
沈殿物とカビの違いの振り返り
ワインに見られる沈殿物の多くは澱(おり)であり、無害で自然な現象です。一方で、白や緑のフワフワしたものや異臭を伴う場合はカビの可能性が高く、飲用は避けるべきです。
安全に楽しむための保存と対処のポイント
沈殿物はデカンタージュや注ぎ方の工夫で取り除けますが、カビが生じた場合は無理をせず廃棄してください。保存環境を整えることで、こうしたトラブルを最小限に抑えられます。
迷ったら無理せず処分する判断も大切
「これは澱かな?カビかな?」と迷ったときは、安全のために処分する勇気も大切です。安心して飲めるワインを選ぶことが、長く楽しむ秘訣になります。



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