
そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。 ワインを飲んだあとに起こる頭痛や重だるさには、 単なる“飲みすぎ”以外の理由が隠れていることがあります。 特に、亜硫酸塩(SO₂)やヒスタミンなど、 ワインに含まれる成分に体が敏感に反応しているケースもあるのです。
この記事では、ワインで頭痛が起こる3つの主な原因と、 それぞれの仕組み・対策をわかりやすく解説します。 また、頭痛を防ぐための飲み方や、体に優しいワインの選び方も紹介します。
- ワインで頭痛が起きる3つの原因(アルコール・亜硫酸塩・ヒスタミン)
- 体質によって反応が出やすい理由
- 頭痛を防ぐための飲み方・選び方のポイント
ワインの成分を正しく理解すれば、 “飲むと頭が痛くなる”という悩みを軽減しながら、 安心してワインを楽しむことができます。
ワインで頭痛がするのはなぜ?よくある3つの原因
ワインを飲むと「頭がズキズキする」「すぐに重くなる」と感じる方は少なくありません。 その原因は単なる飲みすぎだけでなく、ワインに含まれる特定の成分や、 体質による反応の違いが関係しています。 まずは、代表的な3つの要因を整理してみましょう。
① 飲みすぎによるアルコール分解の遅れ
最も一般的な原因は、アルコールの分解が追いつかないことです。 アルコールが体内で分解されるとき、「アセトアルデヒド」という物質が発生します。 これが血管を拡張し、脳の血流や神経に刺激を与えることで頭痛が起こります。
- 空腹時に飲むと吸収が早まり、頭痛が起こりやすい
- 体内の水分が減り、脱水で血流が滞る
- 日本人の約4割はアセトアルデヒド分解酵素が弱い体質
つまり、アルコール耐性の低さが頭痛の大きな要因のひとつ。 赤ワインに限らず、どんなお酒でも起こりうる現象です。 しかし、ワイン特有の成分が加わると、さらに頭痛が強く出ることがあります。
② 亜硫酸塩(SO₂)による刺激・体質反応
ワインには保存や酸化防止の目的で亜硫酸塩(SO₂)が添加されています。 この成分は、空気中の酸素と結合してワインの品質を守る役割を持ちますが、 ごく一部の人にとっては呼吸器や血管を刺激する原因になることがあります。
敏感な体質の方は、少量でも頭痛・鼻づまり・ほてりなどを感じることがあり、 特に気管支ぜんそくやアレルギー体質の方は注意が必要です。 ただし、法律上の添加量は厳しく制限されており、 一般的な量では健康に影響を与えるレベルではありません。
③ ヒスタミンやポリフェノールへの過敏反応
赤ワインを飲んだときに頭痛が起こる場合、 原因のひとつがヒスタミンです。 ヒスタミンは発酵の過程で自然に生まれるアミン類の一種で、 血管を拡張させる作用を持ちます。
体内で分解しきれない場合、顔のほてり・鼻づまり・頭痛などの反応が出ることがあります。 また、ポリフェノールやタンニンにも血管拡張作用があり、 複数の要素が重なることで、より強い頭痛を感じることがあります。
このように、ワインの頭痛は成分・体質・飲み方の3つが重なって起こるケースが多いのです。 次の章では、その中でも誤解されがちな「亜硫酸塩(SO₂)」の役割と影響について、 もう少し詳しく見ていきましょう。
亜硫酸塩(SO₂)は危険?添加の目的と安全基準
「ワインに添加されている亜硫酸塩が頭痛の原因では?」 そんな声を耳にすることがありますが、結論から言えば、ほとんどの人にとって安全な成分です。 実際には、ワインの品質を守るうえで欠かせない役割を果たしています。
ワインに亜硫酸塩が使われる理由
亜硫酸塩(SO₂)は、ワインの酸化を防ぎ、雑菌の繁殖を抑えるために使用されます。 発酵後のワインは非常にデリケートで、空気に触れるとすぐに劣化が進むため、 保存料というより“品質保護剤”としての意味合いが強いのです。
また、亜硫酸塩は発酵の過程でも自然に生成される成分です。 つまり、「添加していないワイン=完全に無亜硫酸」ではなく、 天然の亜硫酸が微量に含まれているのが一般的です。
亜硫酸塩の含有量と法律上の基準
各国では、亜硫酸塩の使用量に厳しい基準が設けられています。 日本の食品衛生法では、ワイン1kgあたり最大350mgまでと定められており、 この基準を超える量は販売できません。
国・地域 | 上限量(SO₂ mg/kg) | 備考 |
---|---|---|
日本 | 350 | 食品衛生法による規定 |
EU(ヨーロッパ) | 150〜400 | タイプにより異なる |
アメリカ | 350 | FDA基準 |
この数値は人体に影響を与えるレベルよりはるかに低く、 普通の摂取量では問題が起こることはありません。 しかし、アレルギー体質やぜんそくを持つ方は、 少量でも血管や呼吸器が刺激されるケースがあります。
敏感な人が頭痛を感じやすい仕組み
体内で亜硫酸塩が分解されると、少量の硫黄酸化物が発生します。 これが血管を一時的に拡張させ、“ズキッ”とするような頭痛を引き起こすことがあるのです。 ただし、この反応は全体のごく一部の人に限られ、 ほとんどの人は影響を受けません。
また、空腹時や脱水状態で飲むと反応が出やすくなるため、 飲むタイミングや体調によっても症状が左右されます。 ワインを飲む前に軽く食事をとり、水をしっかり飲むことで軽減できます。
低亜硫酸ワイン・自然派ワインという選択肢
近年では、亜硫酸塩の量を抑えたナチュラルワイン(自然派ワイン)が増えています。 「頭痛がしやすい」「体が重くなる」と感じる方は、 こうした低亜硫酸タイプを試してみるのも一つの方法です。
ただし、「無添加=完全に無亜硫酸」ではない点に注意しましょう。 発酵中に自然発生する分があるため、あくまで“添加を控えめにした”ワインという認識が正確です。
ワインの酸化や劣化を防ぐために不可欠な成分であることを理解すれば、 亜硫酸塩を過度に恐れる必要はありません。 次の章では、もうひとつの原因であるヒスタミンについて、 その正体と体への影響を詳しく見ていきます。
ヒスタミンが引き起こす頭痛のメカニズム
ワインを飲んだときに感じる「ズキズキするような頭の重さ」や「顔のほてり」は、 ヒスタミンという成分が関係している場合があります。 ヒスタミンはワインの中に自然に存在する成分で、 血管を拡張させる作用を持つため、敏感な人では頭痛の引き金となることがあります。
ヒスタミンとは?ワイン中に含まれる成分
ヒスタミンは、ぶどうの発酵過程で生まれるアミン類(生体アミン)の一種です。 発酵中に働く乳酸菌などが、アミノ酸を分解する際に生成します。 つまり、完全に“添加物”ではなく、自然な発酵の副産物なのです。
特に、発酵や熟成の期間が長い赤ワインでは、 白ワインよりもヒスタミン濃度が高くなりやすい傾向があります。 これが「赤ワインを飲むと頭が痛くなる」と感じる人が多い理由のひとつです。
赤ワインで頭痛が起きやすいのはなぜ?
赤ワインは、皮や種ごと発酵させるため、 ポリフェノールやタンニン、ヒスタミンなどの成分が多く抽出されます。 これらは抗酸化作用が高い一方で、血管を拡張させる作用もあるため、 敏感な人では血管の膨張によって頭痛が誘発されやすくなります。
また、ヒスタミンはアレルギー反応を引き起こす化学物質でもあり、 アレルギー体質の方や花粉症・喘息を持つ方は反応が出やすい傾向にあります。
ヒスタミン不耐症との関係と見分け方
「ヒスタミン不耐症」とは、体内でヒスタミンを分解する酵素(DAO酵素)の働きが弱い体質のことを指します。 この酵素が十分に働かないと、ヒスタミンが体内に残り、 頭痛・顔のほてり・鼻づまり・動悸などの症状が出やすくなります。
ワインだけでなく、チーズや発酵食品、加工肉などでも同じような症状が出る場合、 ヒスタミン不耐症の可能性があります。 こうした場合は、ヒスタミン量が少ない白ワインやナチュラルワインを選ぶと良いでしょう。
ヒスタミンを抑える飲み方のコツ
ヒスタミンの影響を受けやすい方は、次のポイントを意識してみてください。
- 空腹時を避け、食事と一緒にワインを楽しむ
- チーズやサラミなどヒスタミンの多い食品との組み合わせを控える
- 1杯ごとに水を飲み、体内の代謝を促す
- ナチュラルワインや低ヒスタミンタイプを選ぶ
また、体調がすぐれない日や寝不足の日は、 ヒスタミンの分解が遅れる傾向があります。 体が疲れているときほど、飲む量やタイミングに注意しましょう。
次の章では、実際にワインを飲むときにできる頭痛予防の方法と、 体に優しいワインの選び方を具体的に紹介します。
ワイン頭痛を防ぐための対策と飲み方
「ワインは好きだけど、頭が痛くなるのがつらい」 そんな方でも、ちょっとした工夫で症状を軽くすることができます。 ここでは、飲む前・飲んでいる最中・飲んだ後にできる予防法を具体的に紹介します。
飲む前・飲んでいる間にできる予防法
ワインを飲む前に軽く食事をとり、空腹状態を避けるのがポイントです。 胃に何も入っていないとアルコール吸収が早まり、アセトアルデヒドが一気に増加します。 また、1杯ごとに水を飲む“チェイサー習慣”をつけることで、 体内の代謝が促され、頭痛のリスクを減らせます。
- 飲む前に軽く食事をとる(チーズ・ナッツなど)
- 1杯につきコップ1杯の水を飲む
- 冷えすぎたワインを避け、常温近くでゆっくり味わう
飲むスピードを少し落とすだけでも、アルコールの分解時間に余裕ができ、 頭痛が出にくくなります。 「ゆっくり味わう」ことが、そのまま最大の予防法です。
水分・食事の取り方で緩和できる理由
アルコールを摂取すると、利尿作用によって体内の水分とミネラルが失われます。 脱水状態が進むと血管が収縮し、脳の血流が不安定になるため、 ズキズキとした頭痛を感じやすくなります。
ワインと一緒に炭水化物(パンやパスタなど)をとると、 糖分がアルコール代謝を助け、アセトアルデヒドの蓄積を防ぎます。 また、果物や野菜に含まれるビタミンB群も分解をサポートしてくれます。
避けたいワイン・選びたいワインの特徴
頭痛が出やすい人は、次のような特徴を持つワインを避けるのがおすすめです。
避けたいワイン | 選びたいワイン |
---|---|
濃厚でタンニンが強い赤ワイン | 軽めの赤ワイン(ピノ・ノワールなど) |
酸化防止剤が多い安価な量産タイプ | 自然派やオーガニックワイン |
長期熟成ワイン | 若くてフレッシュなタイプ |
また、「頭痛が出にくい」と感じる銘柄を記録しておくと、 自分の体質に合うタイプが自然と見えてきます。 一概に“安いワインが悪い”というわけではなく、 酸化防止剤の量やヒスタミン生成環境が影響しているのです。
頭痛が出やすい人におすすめのワインタイプ
次のようなタイプは比較的刺激が少なく、 頭痛のリスクを抑えながら楽しめます。
- 低亜硫酸・無濾過タイプ(自然派ワイン)
- 白ワインやロゼなど、発酵期間が短いタイプ
- スパークリングワイン(炭酸で代謝を促進)
同じ銘柄でも、保存温度やグラスの形によって香りや刺激が変わることもあります。 詳しくは → ワイングラスの種類と使い分け|味わいを引き出す基本知識 を参考にしてみてください。
次の章では、読者の方から寄せられる「ワイン頭痛に関するよくある質問」に、 Q&A形式でお答えします。
よくある質問(Q&A)
ここでは、「どんなワインを選べば頭痛を防げる?」「無添加なら安心なの?」といった、 読者の方から多く寄せられる質問にお答えします。 体質や環境による違いもありますので、参考としてご覧ください。
Q. 白ワインでも頭が痛くなることはありますか?
A. はい、白ワインでも頭痛が起こることはあります。 ただし、赤ワインよりはヒスタミン量が少ないため、起こる頻度はやや低めです。 冷えすぎた状態で一気に飲むとアルコール吸収が早まり、 アセトアルデヒドが溜まりやすくなる点には注意が必要です。
Q. 「無添加ワイン」なら頭痛しないって本当?
A. 一概には言えません。 「無添加」と表記されていても、発酵過程で自然に亜硫酸塩が発生します。 そのため完全にゼロではなく、体質によっては反応が出ることもあります。 むしろ大切なのは保存状態や飲む量です。 適切な温度で保管されていれば、亜硫酸塩量の少ないワインでも十分安全に楽しめます。
Q. 頭痛が出たときはどうすればいいですか?
A. まずは水分をしっかり摂ってください。 アルコールによる脱水を補うことで、血管の拡張が落ち着きやすくなります。 痛みが強い場合は、静かな場所で休み、必要に応じて市販の鎮痛薬を使用します。 ただし、頭痛が毎回出るようであれば、体質や持病に関係している可能性もあるため、 一度医師に相談するのがおすすめです。
Q. どんな体質の人が頭痛になりやすい?
A. 以下のような特徴を持つ方は、頭痛が出やすい傾向があります。
- アルコール分解酵素(ALDH2)が弱い
- アレルギー体質・喘息持ち・花粉症がある
- ヒスタミン不耐症(DAO酵素が少ない)
- 空腹・脱水状態で飲むことが多い
こうした体質の方は、特に赤ワインや熟成タイプを少量ずつ試すようにしましょう。 また、飲み比べセットなどで複数のタイプを試し、 自分に合うワインを見つけるのもおすすめです。
実際に飲み比べて違いを確かめたい方は、手頃なセットを活用するのもおすすめです。


まとめ|ワイン頭痛は原因を知れば防げる
ワインで頭痛が起こるのは、単なる飲みすぎだけでなく、 亜硫酸塩やヒスタミンなどの成分、そして体質が関係していることがあります。 しかし、これらの仕組みを理解し、飲み方を工夫すれば、 多くの場合は快適にワインを楽しむことができます。
空腹で飲まない、水をこまめにとる、体調が悪い日は控えるなど、 基本的なポイントを意識するだけでも大きな違いが出ます。 また、低亜硫酸・自然派・軽めの白ワインなど、 自分に合ったタイプを選ぶことも、頭痛予防には効果的です。
この記事のまとめ
- ワイン頭痛の主な原因はアルコール・亜硫酸塩・ヒスタミン
- 体質(アレルギーや酵素の働き)で症状の出やすさが異なる
- 水分・食事・飲むスピードを意識すれば頭痛は防げる
- 低亜硫酸ワインや自然派ワインは体にやさしい選択肢
- 症状が頻繁に出る場合は医師への相談も検討を
「ワインを飲むと頭が痛くなるから苦手」と感じていた方も、 原因を知り、自分に合った楽しみ方を見つけることで、 再びワインを心地よく味わえるようになるはずです。



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