ワインのアルコールは飛ばせる？加熱・料理での扱い方を検証

2025年9月8日

バッカス

「料理にワインを使えばアルコールは飛ぶって聞いたけど、本当に大丈夫？」こんな疑問を感じたことはありませんか？

ワインは煮込みやソースに使うと風味を引き立ててくれますが、アルコールが完全に飛ぶわけではありません。調理方法や加熱時間によって残る量が変わるため、妊娠中の方やお子さんに提供するときは特に注意が必要です。

この記事では、

アルコールはどれくらい飛ばせるのか？科学的な視点
料理の種類ごとに残るアルコール量の違い
アルコールを減らす工夫と代用方法
子どもやお酒に弱い人も安心できる調理のヒント

をわかりやすく解説します。最後まで読めば、「安心して料理にワインを使うための基準」がわかります。

アルコールは本当に飛ばせるのか？

アルコールの揮発温度と基本原理

アルコールは約78℃で沸騰し揮発します。そのため「加熱すればアルコールは飛ぶ」とよく言われますが、実際には温度だけでなく時間や調理方法も大きく関わります。

「完全に飛ばす」は難しい理由

鍋で数分煮込んだだけではアルコールの一部しか揮発しません。例えばフランベ（炎で一気に燃やす調理法）では見た目は派手ですが、実際には多くのアルコールが残っていることが研究で分かっています。

実験データから見る残留アルコール量

アメリカ農務省（USDA）の調査によると、調理方法ごとの残留アルコールは次の通りです。

調理方法	残留アルコール量
フランベ直後	約75％
煮込み（15分）	約40％
煮込み（1時間）	約25％
煮込み（2時間以上）	約5％

このように長時間加熱すればかなり減らせますが、完全ゼロにはならないことが分かります。

料理でワインを使うとどうなる？

煮込み料理の場合（ビーフシチュー・煮魚）

ワインを煮込みに使うと酸味や渋みが和らぎ、旨味に変わる効果があります。ただし、短時間の加熱ではアルコールが残りやすく、15分程度の煮込みでも約40％残るといわれています。長く煮込むほどアルコールは減りますが、完全になくすのは難しいです。

ソースやフランベの場合

ソース作りやフランベは香りを引き立てる目的で使われますが、アルコールをしっかり飛ばすのは難しい調理法です。見た目は炎で一気に燃えているように見えても、実際には7割以上のアルコールが残っているという研究結果もあります。

子どもや妊婦が食べても大丈夫？

「アルコールは飛ぶから大丈夫」と言われることもありますが、短時間加熱では完全には飛びません。特に小さなお子さんや妊娠中の方には控えた方が安心です。どうしても使いたい場合は、長時間煮込むか、次で紹介するノンアルやジュースでの代用を検討するのがおすすめです。

アルコールを減らすための工夫

長時間加熱する

アルコールは加熱時間が長いほど揮発しやすくなります。数分の加熱ではほとんど残ってしまうため、できるだけ1時間以上じっくり煮込むのがおすすめです。シチューやカレーなど、長時間煮込む料理ならアルコールをかなり減らせます。

混ぜる・かき回すことで揮発を促す

鍋の中で表面積を大きくして空気に触れさせることもポイントです。途中でしっかりかき回したり、フタを開けて煮込むことで、アルコールが逃げやすくなります。

他の調味料で風味を補う

アルコールをしっかり飛ばすと、ワイン特有の香りやコクも薄くなってしまいます。その場合はブイヨンやコンソメ、バルサミコ酢などを加えると風味が補えます。「アルコールを減らしつつ美味しさは残す」ために、こうした工夫を取り入れるのもおすすめです。

ノンアルコールで代用する方法

ノンアルワインを使う

最近は料理にも使いやすいノンアルコールワインが市販されています。風味はワインに近いのにアルコールが入っていないため、子どもや妊娠中の方にも安心です。煮込み料理やソースに加えれば、ワインらしいコクを出すことができます。

ブドウジュース＋レモンで代用

ブドウジュースに少しレモン汁を加えると、ワインのような酸味と果実味を表現できます。特に赤ワインの代用におすすめで、煮込み料理に自然な甘みと奥行きを与えてくれます。

出汁やビネガーでコクを出す

白ワインの代用なら、出汁やビネガーが便利です。魚料理やソースに加えると、爽やかな酸味と深みが出て、ワインを使った時に近い仕上がりになります。「アルコールを完全に避けたい」方でも、代用品で十分に美味しく作れます。

Q&A：ワインのアルコール飛ばしに関する疑問

Q1. 電子レンジでもアルコールは飛ぶ？

A. 電子レンジ加熱でもある程度アルコールは揮発しますが、短時間では完全に飛びません。特に料理に使う場合は、できるだけ鍋で長時間加熱するのがおすすめです。電子レンジ活用の注意点についてはワイン保存と賞味期限の記事も参考にしてみてください。

Q2. 一晩放置したらアルコールは抜ける？

A. ワインをグラスや鍋に入れっぱなしにしても、完全には抜けません。香りが飛んで味も落ちるので、おすすめできません。「放置で抜ける」よりも、正しい保存方法を押さえておくことが大切です。

Q3. アルコールに弱い人でも料理ワインは大丈夫？

A. 調理後でもアルコールは残るため、お酒に弱い人や子ども、妊娠中の方には注意が必要です。安心して使いたい場合は、ノンアルワインの記事をチェックすると代用品の選び方が分かります。

まとめ

アルコールは完全には飛ばせない

加熱するとアルコールは揮発しますが、短時間では多くが残ることが分かっています。長時間煮込めばかなり減らせますが、ゼロにはならない点を覚えておきましょう。

料理での使い方次第で安心度が変わる

煮込み料理ならアルコールを減らしやすいですが、フランベやソースでは残りやすいのが現実です。 食べる人に合わせた工夫が大切です。

代用品を上手に活用する

お子さんや妊娠中の方に提供するなら、ノンアルワインやジュース＋レモンなどの代用品を活用すれば安心。風味を楽しみつつ、健康面への配慮もできます。